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Q&A

現代社会を生きることと、ストレスはコインの表裏のように切っても切り離せないものではないでしょうか?厚生労働省は2011年7月、これまでの日本における4大疾病、がん、脳血管障害、糖尿病、心血管疾患に、うつ病を中心とした精神疾患を加え、5大疾病とすると発表しました。社会経済情勢や気候変動などの不安定要素、ネット等の情報ツールの普及による認識の向上などから、心療内科・精神科受診者は4大疾病各々より増えつつあり、政府にとっても見過ごせない事態となっています。

ストレス解消のためリラクゼーション、スポーツ、趣味、旅行、音楽、周りの方との宴や相談など、ご自分なりのリフレッシュ方法を皆さん工夫しておられることと思います。しかしそれでも解決できず、原因がはっきりしないまま、不安や緊張が続き、自分ではどうしようもならないほどの状態になる場合どうしたら良いのでしょうか?

ここでは、うつ病神経症境界性人格障害についてのよく伺うご質問にQ&A形式で説明させていただきたいと思います。

うつ病

Q.うつ病とはどんな病気でしょうか?
うつ状態では、寝つきが悪い、夜中に目覚める、早朝に起きてしまう、食欲がなく、やる気がでず、憂うつで、一つのことにとらわれ、何をするにも非常に億劫で、それこそ、電気のスイッチをひとつ入れることに2〜30分かかる、などの症状があります。重篤な場合、生きる気力さえ失ってしまうこともありえます。
また、仮面うつ病といって、憂うつな気分がその名のとおりマスクされ、身体症状が前景に出るものもあります。子供がストレスを言語化出来ず、身体化するのに似ています。頭痛、めまい、胃部不快感、下痢、便秘、生理不順、肩こり等々、様々な症状を呈し、ご本人も体のどこかに異常があると思い、いろいろな病院に受診され、検査を受けても身体の病気が結局見つからないといった状態です。
Q.うつ病はどうして起こるのでしょうか?
うつ病は、生物学的には脳・中枢神経系の神経伝達物質のバランスが不安定になることによって週単位、月単位で起こってくる病気です。 転職や退職、昇進、引越し、近親者の死亡、結婚、出産など、精神的負担や動揺が誘引になることがあります。
Q.どのくらいの頻度で起こりますか?
統計的には、人口に対し感情障害全体で0.5%程度の出現頻度といわれていましたが、最近ではうつ病の生涯罹患率は約15%にもなるという報告もあり、ごくありふれた病気と考えてよいと思います。患者さんの多さから「心の風邪」とも呼ばれています。
Q.どう接したらよいですか?
仕事が溜まったり、ミスが増えたり、家事が滞ったりと、今まで出来ていたことができず、ご本人は自分を責めたりするかもしれません。周囲も怠けているというニュアンスで捉えがちで、そうとられていると感じる事でますます落ち込む、という悪循環がよく見受けられます。
傍で見るよりずっと苦しい病気ですから、周囲も本人の病気のことを理解することが大切です。ただし、うつ病の患者さんにあれこれ指示したり励ましたりすることは負荷をかけることと同義ですので禁物です。
Q.治療法はどのようなものがありますか?
躁うつ病(双極性感情障害)とともに中枢神経系の生物学的な問題が基底にありますので、糖尿病や胃潰瘍のように普通の病気であると捉えてください。うつ病が疑われたら、専門医にかかることをお勧めします。
治療には、薬物療法、精神療法などがあります。うつ病の患者さんを潜在的なレベルまで含めてスクリーニングし、きちんと薬物療法に導くのは、欧米では毎年日にちを決めて行われている国家的プロジェクトですが、日本はまだその前段階です。薬物も日夜進歩しており、専門医の指導のもとであれば安全に服用していただけます。早期に治療を受けることで、病気の重篤化や長期化を防ぐことが出来ます。重症例もありますが、多くは適切な治療で必ずよくなってまいりますので、ご安心ください。ただし「心の風邪」は中枢神経における神経伝達物質のバランス是正が要点ですから、糖尿病や胃潰瘍のように月単位、年単位でのフォローアップが必要です。

神経症

Q.神経症とはどんな病気ですか?
神経症にはいろいろなタイプがあります。
  • 心配、不安、易疲労感、集中力低下、いらいら、肩こり、不眠が長期にわたる全般性不安障害(GAD)
  • 人前で話したり、食べたり、書いたりしようとすると、不安や恐怖を覚えて赤面する、汗が出る、震えや口の渇きがおきるなどの社会不安障害(SAD)
  • 突然不安感が高まり、動悸、発汗、息苦しさ等の身体症状が出現するパニック障害
  • 対人恐怖やバスや飛行機に乗れない、狭いところが怖いといった恐怖性障害
  • 電気、ガス、施錠の確認が終わらず、アポイントを逃す。不潔な状況を経験したときに無意識的に手を何回も、または長時間洗うなどの行為が繰り返される強迫性障害(OCD)
  • 些細な体調の変化で自分を重病と思い込む心気障害
  • 自然災害で多くみられる外傷後ストレス障害(PTSD)
などその症状は非常に多彩です。
Q.原因はありますか?
これらは何らか心の負担になるようなことがあって、それが意識化されていない、または意識化するのが困難である場合に生じてくると考えられています。ストレスフルな現代社会は、家庭、職場、学校といった身近なところから、特に最近は不安定な世界情勢、戦争、テロリズム、不況、震災、感染症の脅威等々、心に与えるダメージに環境因子は相当深く関わっていると思われます。
Q.治療はどのようなものですか?
抗不安薬等を用いた薬物療法、精神療法、カウンセリング等があります。
また、どの疾患にも共通することですが、治療には良好な医師−患者関係が必須です。

境界性人格障害

Q.境界性人格障害(情緒不安定性人格障害:以下BPD)とは、どんな病気ですか?
うつ病や神経症と比較してみましょう。彼らは、自分の中に解決できない悩みや不安を抱え込んでしまい、それが、不眠、抑鬱、食欲低下、引きこもりなどに繋がっています。
一方、BPDは、別の方法で、これを解決しようとします。リストカット、過食、拒食、大量服薬(OD)等の”行動化”によって、無意識的に周囲の人たちをも巻き込んでいくパターンが多くみられます。
医師の認識では、うつ病が生物学的な病気、神経症がストレスに起因して誰にでも陥りやすい状態と定義されるのに対し、BPDはパーソナリティの偏りと捉えられています。
Q.症状について、もう少し詳しく教えてください。
まず、心の中に空虚感(何事にも自信が持てない、達成感がない、帰属感がない等)、孤独感(ひとりでいられない、そのため表面的にでも対人交流を広げようとして挫折感を味わう等)を感じるようになります。そして、行動化によって自己の危機を示すことで、「もっと気にかけてほしい」「振り向いてほしい」と”見捨てられ不安”を無意識的に周囲に訴えかけるのです。
Q.どのように治療するのですか?
BPDでは、不安や懸案事項に対し行動化が葛藤より優先されることが多く、問題となります。一般的な葛藤≒悩みを内包することが不得意で、いつも気分がもやもやとし、自分の情動や衝動と上手く折り合いがつかない状態が続きます。
治療は、ご自身の状況、病状を言語化、客観化されるプロセスをお手伝いすることが中心となります。”自分についての洞察、内省”ができるようになれば、通常の抑うつや葛藤する状態に近づき、悩む、検討する、問題を自分で解決する、そして自信を取り戻す、といった展開が不可能ではなくなります。そのために、精神療法や薬物療法などを行います。
Q.周囲の人たちが気をつけるポイントは?
主治医との連携が重要です。BPDの行動化はサインであり、意識的なものではありません。はからずも無意識的に周囲を巻き込んでしまい、親族、友人など対人関係を悪化させてしまいます。周囲の方たちは、怒りやあきれるような感情を持たれた場合、これに対して必要以上にエネルギーを使わず、主治医との共同作業を密にすることがポイントです。